GitHub上のリポジトリやIssue、Pull Requestを、AIアシスタントから直接操作できる仕組みがGitHub MCPサーバーです。2025年4月にパブリックプレビューとして公開され、2025年9月にリモート版がGA(一般公開)となりました。MITライセンスで公開されており、GitHubリポジトリのスター数は約26,700(2026年2月時点)に達しています(出典: GitHub)。
開発者がIssueの検索やPRレビューのたびにブラウザとエディタを行き来する手間は、このサーバーを導入すると大幅に削減されます。
MCP(Model Context Protocol)とGitHub MCPサーバーの関係
MCP(Model Context Protocol)は、AIアプリケーションを外部システムに接続するためのオープンソース標準です。Anthropicが2024年11月に発表し、2025年12月にはLinux Foundation傘下のAgentic AI Foundation(AAIF)へ寄贈されました。共同設立者にはAnthropic、Block、OpenAIが名を連ね、Google、Microsoft、AWSなども支援しています(出典: Anthropic)。
GitHub MCPサーバーは、このMCPプロトコルに準拠したGitHub公式のサーバー実装です。AIエージェントがGitHub APIを自然言語経由で呼び出せるようになり、リポジトリ操作・Issue管理・PR作成・コードセキュリティ分析などを一箇所から実行できます。
ChatGPT、Cursor、Gemini、Microsoft Copilotなど主要なAIツールがMCPを採用しており、パブリックなMCPサーバーは10,000以上、Python/TypeScript SDKの月間ダウンロード数は9,700万を超えています(出典: Anthropic)。
リモート版とローカル版の使い分け
GitHub MCPサーバーには「リモート版」と「ローカル版」の2つの提供形態があります。用途やセキュリティ要件に応じて選択してください。
| 比較項目 | リモート版 | ローカル版 |
|---|---|---|
| ホスティング | GitHub側で運用 | 自分のマシン(Docker / Goバイナリ) |
| 認証方式 | OAuth(ワンクリック) | Personal Access Token(PAT) |
| トランスポート | Streamable HTTP | stdio / HTTP(v0.30+) |
| メンテナンス | 自動パッチ適用 | 手動でDockerイメージ更新 |
| Enterprise Server対応 | 非対応 | 対応(GHES対応) |
| 限定機能 | Copilot Spaces連携・GitHub Docs検索 | なし |
リモート版が適しているケース: 個人開発やチーム開発でGitHub.comを利用しており、セットアップの手軽さを重視する場合です。OAuth認証でトークン管理の手間もありません。
ローカル版が適しているケース: GitHub Enterprise Server(オンプレミス)を使っている場合や、ネットワーク制限のある環境、トークンの細かい権限制御が必要な場合に適しています。
対応クライアントとエディタ別セットアップ
GitHub MCPサーバーは多くのAIクライアントに対応しています。
VS Code(GitHub Copilot経由)
VS Code v1.101以降で利用可能です。リモート版はワンクリックでインストールできます。
{
"mcp": {
"servers": {
"github": {
"type": "http",
"url": "https://api.githubcopilot.com/mcp/"
}
}
}
}
ローカル版を使う場合は、Docker経由で設定します。
{
"mcp": {
"servers": {
"github": {
"command": "docker",
"args": [
"run", "-i", "--rm",
"-e", "GITHUB_PERSONAL_ACCESS_TOKEN",
"ghcr.io/github/github-mcp-server"
],
"env": {
"GITHUB_PERSONAL_ACCESS_TOKEN": "<your-pat>"
}
}
}
}
}
Cursorでの連携
Cursorの設定ファイル(.cursor/mcp.json)にリモート版の接続先を追加します。
{
"mcpServers": {
"github": {
"url": "https://api.githubcopilot.com/mcp/",
"headers": {
"Authorization": "Bearer <your-github-token>"
}
}
}
}
Cursorではエージェントモードで「このリポジトリのIssue一覧を取得して」のように自然言語で指示を送ると、GitHub MCPサーバー経由でAPIが呼び出されます。
Claude Code CLIでの利用
Claude Codeではclaude mcp addコマンドでリモート版を追加できます。
claude mcp add github \
--transport http \
--url https://api.githubcopilot.com/mcp/ \
--header "Authorization: Bearer YOUR_GITHUB_TOKEN"
PAT認証でローカル版を使う場合はDocker経由の設定も可能です。
JetBrains IDE
GitHub Copilotプラグインを導入済みのIntelliJ IDEA、PyCharm、WebStormなどでも利用できます。Settings > GitHub Copilot > MCP Servers から接続先を追加してください。
主要なToolset一覧と操作例
GitHub MCPサーバーは機能をToolset単位で管理しています。必要な機能だけを有効化することで、トークン消費を抑えつつセキュリティリスクを低減できます。
デフォルトで有効なToolset
| Toolset | 主な操作 |
|---|---|
| repos | リポジトリ情報取得、ファイル内容読み取り、ブランチ管理 |
| issues | Issue作成・検索・更新・コメント追加 |
| pull_requests | PR作成・一覧取得・レビューコメント・マージ |
| users | ユーザー情報取得 |
| context | MCPサーバー自身のバージョン情報 |
追加可能なToolset(--toolsetsで指定)
| Toolset | 用途 |
|---|---|
| actions | GitHub Actionsワークフロー実行管理、ログ取得 |
| code_security | コードスキャンアラート管理 |
| dependabot | Dependabotアラート確認 |
| discussions | ディスカッション参照・作成 |
| notifications | 通知管理 |
| projects | GitHub Projects操作(v0.28+でトークン消費50%削減) |
| secret_protection | シークレット漏洩検知 |
| security_advisories | セキュリティアドバイザリ |
| labels | ラベル管理 |
| orgs | Organization情報取得 |
リモート版限定でcopilot、copilot_spaces、github_support_docs_searchも利用できます(出典: GitHub Blog)。
Toolsetの指定例(Docker起動時):
docker run -i --rm \
-e GITHUB_PERSONAL_ACCESS_TOKEN \
ghcr.io/github/github-mcp-server \
--toolsets repos,issues,pull_requests,actions
実務での活用パターン
Issue・PRの横断検索と状況把握
「直近1週間でクローズされたIssueを一覧にして」「mainブランチへのPR一覧を取得して」のように、リポジトリ横断の情報収集がチャット上で完結します。複数リポジトリを管理しているチームリーダーにとって、進捗把握の工数が削減されます。
AIを使ったPRレビュー補助
PRの差分をMCPサーバー経由でAIに読み込ませ、「このPRで変更されたファイルの概要を教えて」「セキュリティ上の懸念がないかチェックして」といった指示でレビュー作業を補助できます。レビューコメントの投稿もAI経由で実行可能です。
GitHub ActionsのログをAIで分析
actions Toolsetを有効にすると、CI/CDパイプラインのワークフロー実行結果やログをAIに取り込めます。「最新のビルドが失敗した原因を教えて」のように、エラーログの解析を自然言語で依頼できます。
他のMCPサーバーとの組み合わせ
GitHub MCPサーバーとNotionやSlackのMCPサーバーを同時に接続すれば、「GitHubのIssue内容をNotionのドキュメントにまとめて」「PRがマージされたらSlackに通知内容を生成して」のような横断ワークフローが構築可能です。
アクセス制御とセキュリティ設定
PATの発行と権限設計
ローカル版で使用するPersonal Access Token(PAT)は、必要最小限のスコープに絞って発行してください。v0.28以降では、PATに紐づくOAuthスコープを自動検出し、権限のないToolを非表示にするフィルタリング機能が追加されています(出典: GitHub Blog)。
Read-OnlyモードとLockdownモード
- Read-Onlyモード: 書き込み系のTool(Issue作成、PRマージ、ファイル編集など)を無効化し、情報取得のみに制限します。社内の情報参照用途や、誤操作防止に有効です。
- Lockdownモード: 管理者が許可したToolsetのみ利用可能にする厳格な制御です。チームへの導入時にセキュリティポリシーに沿った運用ができます。
チーム導入時のポイント
GitHub Enterprise Cloudを利用している場合、Organization管理者がMCPサーバーアクセスのポリシーを設定できます(出典: GitHub Docs)。全メンバーに対してRead-Onlyモードをデフォルトにし、特定ロールにのみ書き込み権限を付与する運用が推奨されます。
料金と利用条件
GitHub MCPサーバー自体はMITライセンスのオープンソースであり、ローカル版は無料で利用できます(出典: GitHub)。
リモート版を利用するには、GitHub CopilotまたはCopilot Enterpriseのサブスクリプションが必要です(出典: GitHub Blog)。
| 利用形態 | 費用 |
|---|---|
| ローカル版(Docker/Go) | 無料(GitHub APIレート制限あり) |
| リモート版(OAuth経由) | GitHub Copilotサブスクリプション必要 |
| Enterprise Server連携 | ローカル版のみ対応・追加費用なし |
GitHub Enterprise Server(GHES)を利用している場合はリモート版が非対応のため、ローカル版をDockerで運用する必要があります。
よくあるトラブルと対処法
| 症状 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 認証エラーが発生する | PATのスコープ不足 or トークン期限切れ | 必要なスコープ(repo, read:org等)を付与して再発行 |
Docker起動時にspawn docker ENOENT | DockerがPATHに通っていない | which dockerで確認し、PATHを修正 |
WSL2でnetwork not found | Dockerのデフォルトネットワーク未作成 | docker network create bridgeで作成、または--network hostを指定 |
| Toolが表示されない | PATの権限不足でフィルタリングされている | PATのスコープを確認し、必要な権限を追加 |
まとめ
GitHub MCPサーバーは、AIエージェントとGitHubプラットフォームを橋渡しするMCP準拠の公式ツールです。VS Code、Cursor、Claude Code、JetBrains IDEなど主要な開発環境から接続でき、Issue管理・PR操作・コードセキュリティ分析・Actions連携までを自然言語で制御できます。
リモート版はOAuth認証で手軽に始められ、ローカル版はEnterprise Server対応や細かい権限制御が可能です。Read-OnlyモードやLockdownモードを活用すれば、チーム全体で安全に運用できます。
まだ導入していない場合は、まずリモート版をVS CodeまたはCursorに接続して「Issue一覧を取得」のような簡単な操作から試してみるのがスムーズです。
公式リポジトリ: github/github-mcp-server