AIアシスタントからNotionのページやデータベースを直接操作したい――そんなニーズに応えるのがNotion MCPサーバーです。

MCP(Model Context Protocol)は、Anthropicが策定したオープンな通信規格です。LLM(大規模言語モデル)と外部サービスのあいだに共通のインターフェースを置くことで、AIエージェントがファイル操作やAPI呼び出し、データベース更新などを安全に実行できる仕組みとして、2024年末から急速に広まりました。

Notion MCPサーバーは、このMCP規格に沿ってNotion公式が提供する接続サーバーです。Claude Desktop、Cursor、VS Code、ChatGPT Proなど主要なAIクライアントから、Notionワークスペース内のページ検索・作成・更新・削除を自然言語で指示できます。

Notion MCPサーバーで何ができるのか

Notion MCPサーバーを導入すると、AIクライアントのチャット欄からNotionへの主要な操作を実行できるようになります。

ページ関連の操作

操作内容
検索ワークスペース内のページをキーワードで全文検索
新規作成Markdown形式のテキストから新しいページを生成
内容の書き換え既存ページのテキストやブロックをMarkdownで上書き
移動ページを別の親ページ配下へ配置替え(v2.0.0で追加)
アーカイブ不要ページをアーカイブ状態に変更

データベース関連の操作

操作内容
新規作成プロパティ定義付きでデータベースを新規作成
レコード取得フィルター・ソート条件を指定してレコードを抽出
プロパティ更新ステータス変更、担当者の割り当て、日付の設定など
テンプレート一覧データベース作成に利用できるテンプレートの確認

ブロック・コメント・ユーザー操作

操作内容
ブロック追加・削除ページ内のテキスト、見出し、リスト等のブロックを個別に操作
コメント作成・取得ページやブロック単位でのコメントの読み書き
ユーザー一覧ワークスペースメンバーの情報を取得
外部アプリ横断検索Slack・Google Drive・Jiraなど接続済みアプリも含めた検索(Business以上 + Notion AI)

OSS版(v2.0.0時点)では合計22種類のMCPツールが実装されています(出典: GitHub - makenotion/notion-mcp-server)。

リモート版とOSS版:2つのサーバー形態を比較

Notion MCPサーバーには、Notionが運営する**リモート版(ホスト型)と、GitHubで公開されているOSS版(ローカル型)**の2つがあります。公式はリモート版を推奨しており、OSS版については将来的な廃止の可能性が示唆されています(出典: GitHub README)。

比較項目リモート版(推奨)OSS版
サーバー所在Notion運営のクラウド上ローカルPC上(npxで起動)
認証方式OAuthワンクリックAPIトークンの手動設定
コンテンツ形式Notion-flavored MarkdownJSON(Notion API準拠)
LLMトークン効率高い(Markdown形式で軽量)低い(JSON構造が冗長)
前提環境不要Node.jsまたはDocker
更新方法サーバー側で自動反映npmパッケージの手動更新
自動化ワークフローOAuth認証フローが必要なため不向きヘッドレス運用に対応
長期サポート継続予定廃止の可能性あり

Notion-flavored Markdownとは

リモート版で採用されている独自のMarkdown拡張仕様です。Notionのブロック構造(データベース、トグル、コールアウトなど)をMarkdown記法で表現でき、従来のJSON形式と比べてLLMが消費するトークン数を大幅に抑えられます。特に長いページの読み書きでは、トークン消費量に数倍の差が生じるケースもあります(出典: Notion公式ブログ)。

用途別の選び方

  • 個人利用や手軽な導入:リモート版。認証がワンクリックで済み、Node.js環境も不要です
  • CI/CDやバッチ処理との連携:OSS版。APIトークンによる非対話認証でヘッドレス実行ができます
  • 社内ネットワーク制限がある環境:OSS版。外部サーバーへの接続なしにローカル完結で運用できます

対応AIクライアントと接続方法

2026年2月時点で、Notion MCPサーバーに公式対応しているAIクライアントの一覧です(出典: Notion公式ドキュメント)。

AIクライアント対応状況推奨セットアップ
Claude Desktop公式対応リモート版(Connectors設定)
Claude Code公式対応リモート版 / OSS版
Cursor公式対応リモート版(mcp-remote経由)
VS Code(GitHub Copilot)公式対応リモート版 / OSS版
Windsurf公式対応リモート版 / OSS版
ChatGPT Pro公式対応リモート版

このほか、パートナー統合としてLovable、Perplexity、Mistral、HubSpotなどのサービスからも接続できます。Gemini CLIについても、MCP対応クライアントとしてNotion MCPサーバーに接続可能です。

Claude Desktopでの設定

リモート版(推奨)

Claude Desktopの「Settings」→「Connectors」を開き、リモートMCPサーバーとして https://mcp.notion.com/mcp を追加します。OAuth認証画面が表示されるので、Notionアカウントでログインし、アクセスを許可するページを選択すれば完了です。

OSS版

claude_desktop_config.jsonに以下の設定を追加します。

{
  "mcpServers": {
    "notionApi": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "@notionhq/notion-mcp-server"],
      "env": {
        "NOTION_TOKEN": "ntn_****"
      }
    }
  }
}

NOTION_TOKENには、Notionインテグレーションで発行したAPIトークンを設定します。トークンの取得手順は「Notionインテグレーションの作成手順」のセクションを参照してください。

Claude Codeでの設定

Claude Codeの場合、claude mcp addコマンドでMCPサーバーを登録できます。

リモート版(推奨)

claude mcp add notion-remote --transport http https://mcp.notion.com/mcp

OSS版

claude mcp add notion -- npx -y @notionhq/notion-mcp-server

OSS版を使う場合は、環境変数 NOTION_TOKEN にAPIトークンを事前にセットしておく必要があります。

Cursorでの設定

リモート版(推奨)

CursorはリモートMCPサーバーに直接接続する機能を持たないため、mcp-remoteパッケージをブリッジとして使用します。Cursor Settings → MCP → 「Add new global MCP server」から以下を追加します。

{
  "mcpServers": {
    "notion": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "mcp-remote", "https://mcp.notion.com/mcp"]
    }
  }
}

初回接続時にブラウザでOAuth認証画面が自動で開きます。

OSS版

{
  "mcpServers": {
    "notionApi": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "@notionhq/notion-mcp-server"],
      "env": {
        "NOTION_TOKEN": "ntn_****"
      }
    }
  }
}

VS Codeでの設定

コマンドパレット(Ctrl+Shift+P / Cmd+Shift+P)から「MCP: Add Server」を選択し、.vscode/mcp.jsonに設定を追加します。

リモート版(推奨)

{
  "mcpServers": {
    "notion": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "mcp-remote", "https://mcp.notion.com/mcp"]
    }
  }
}

OSS版

{
  "mcpServers": {
    "notionApi": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "@notionhq/notion-mcp-server"],
      "env": {
        "NOTION_TOKEN": "ntn_****"
      }
    }
  }
}

Windsurfでの設定

Settings → Developer → Edit Config からwindsurf_config.jsonを開き、Claude DesktopのOSS版と同じJSON構造で設定を追加します。

ChatGPT Proでの設定

ChatGPT ProはOpenAIのMCPクライアント機能を通じてNotion MCPに接続できます。リモートMCPサーバーURL https://mcp.notion.com/mcp をChatGPTのMCP設定から追加し、OAuth認証で接続します。

Docker環境でのセットアップ(OSS版)

Node.js環境を用意せずにDockerコンテナでOSS版を動かす方法もあります。

{
  "mcpServers": {
    "notionApi": {
      "command": "docker",
      "args": ["run", "--rm", "-i", "-e", "NOTION_TOKEN", "mcp/notion"],
      "env": {
        "NOTION_TOKEN": "ntn_****"
      }
    }
  }
}

Notionインテグレーションの作成手順(OSS版で必要)

OSS版を使う場合はNotion APIトークンの発行が必要です。リモート版ではOAuth認証を使うため、この手順は不要です。

  1. Notion Integrationsにアクセスします
  2. 「新しいインテグレーション」をクリックし、名前(例: MCP Server)を入力して作成します
  3. 表示される「内部インテグレーションシークレット」(ntn_で始まる文字列)をコピーします
  4. Notionワークスペースで、MCPからアクセスしたいページを開きます
  5. ページ右上の「…」メニュー → 「コネクション」→ 先ほど作成したインテグレーション名を選択します

接続設定を行ったページとその子ページだけがMCP経由で操作対象になります。ワークスペース全体ではなく、必要なページにだけ接続するのが最小権限の原則に沿った運用です。

Notionプラン別の利用条件

Notion MCPサーバーへの接続自体はFreeプランを含む全プランで利用可能です。ただし、一部の機能にはプラン上の制限があります。

機能FreePlusBusinessEnterprise
MCP接続(ページ・DB操作)
ページの検索・作成・更新
データベースのクエリ・更新
Notion AI(AIアシスタント)有料アドオン有料アドオン付属付属
外部アプリ横断検索(Slack等)--
MCP監査ログ---
MCPアローリスト(接続制御)---近日提供予定
複数DB横断クエリ---

APIリクエストのレート制限は全プラン共通で、平均180リクエスト/分(3リクエスト/秒)です(出典: Notion API Reference)。

Enterprise限定のセキュリティ機能

2026年1月公開のNotion 3.2アップデートで、Enterprise向けのMCP管理機能が追加されました(出典: Notion 3.2リリースノート)。

  • 監査ログ: どのAIクライアントがいつMCP接続を行ったか、どの操作を実行したかを記録します
  • MCPアローリスト(近日提供予定): ワークスペースに接続できる外部AIツールを管理者がホワイトリスト方式で制限する機能です。Notion 3.2で発表され、今後提供開始が予定されています
  • 複数データベース横断クエリ: notion-query-data-sourcesツールにより、複数のデータベースにまたがる検索を一度のリクエストで実行できます

セキュリティポリシーの厳しい組織では、Enterprise プランの導入を検討してください。

業務で使える活用シナリオ

タスクの一括操作

AIクライアントに「ステータスが未着手で今週が期限のタスクを一覧にして」と指示すると、Notionのタスクデータベースからフィルタリング結果が返ります。「担当者Aさんの未完了タスクをすべて"レビュー待ち"に変更して」のようなバッチ更新も、手動でひとつずつ開く必要がありません。

議事録からアクションアイテムを抽出

会議メモをNotionに記録した後、「この議事録のアクションアイテムを抽出し、タスクDBに期限と担当者付きで追加して」と依頼できます。コピー&ペーストでタスクを起票する手間を削減できます。

社内ナレッジの横断検索

複数のNotionページに分散した社内ドキュメントを「○○に関する手順書を探して」と検索できます。Business/Enterpriseプランかつ Notion AI が有効な場合、SlackやGoogle Driveの情報も含めた横断検索が可能です。

日報・週報の自動生成

「今週完了したタスクと来週の予定をもとに週報ページを作成して」と指示すると、タスクデータベースの進捗を集約したレポートが生成されます。定型フォーマットの週報作成に毎回30分かけていた作業が数秒で完了します。

コーディング中のドキュメント参照

CursorやVS CodeのMCPを使えば、コーディング中にNotionの設計書やAPI仕様書を検索・参照できます。「このエンドポイントの仕様をNotionから探して」と指示するだけで、エディタを切り替えずに仕様確認が済みます。

データベースの集計レポート

売上データや問い合わせ履歴をNotionデータベースで管理している場合、「先月の問い合わせをカテゴリ別に集計して、結果をNotionの新しいページにまとめて」と依頼できます。定期レポートの生成を自動化する入口として活用できます。

よくあるトラブルと対処法

spawn npx ENOENTエラー

症状: MCP サーバー起動時にspawn npx ENOENTエラーが出る。

原因: AIクライアントがnpxコマンドのパスを解決できない状態です。nodenv、asdf、Volta、fnmなどNode.jsバージョンマネージャーを使っている環境で頻発します。

対処法:

ターミナルでnpxのフルパスを確認し、設定ファイルのcommandを絶対パスに置き換えます。

which npx
# 例: /home/user/.asdf/shims/npx
{
  "mcpServers": {
    "notionApi": {
      "command": "/home/user/.asdf/shims/npx",
      "args": ["-y", "@notionhq/notion-mcp-server"],
      "env": {
        "NOTION_TOKEN": "ntn_****"
      }
    }
  }
}

asdf使用時はASDF_NODEJS_VERSIONの追加も有効です。

"env": {
  "NOTION_TOKEN": "ntn_****",
  "ASDF_NODEJS_VERSION": "22.0.0"
}

ページが見つからない(Object not found)

症状: ページの取得や更新を試みるとUnauthorizedまたはObject not foundエラーが返る。

原因: Notionインテグレーションに対象ページへのアクセス権が未設定です。

対処法: 対象ページを開き、右上の「…」→「コネクション」から作成したインテグレーションを接続します。親ページに設定すれば子ページにも権限が継承されます。

OAuth認証が完了しない(リモート版)

症状: ブラウザでOAuth認証画面が開かない、または認証後にクライアントに戻れない。

対処法:

  • ブラウザのポップアップブロッカーを一時的に無効化します
  • VPN接続中の場合は切断して再試行します
  • Cursorの場合はmcp-remoteパッケージを最新版に更新します(npx -y mcp-remote@latest ...

レスポンスが遅い・タイムアウトする(OSS版)

症状: ページの取得に長時間かかる、またはタイムアウトで失敗する。

原因: OSS版はJSON形式でNotionのブロック構造をすべて取得するため、大きなページではデータ量が膨大になります。

対処法: リモート版への切り替えを推奨します。リモート版はNotion-flavored Markdownを使用し、データ転送量を抑えています。OSS版を継続する場合は、対象ページを分割して小さくする方法もあります。

まとめ

Notion MCPサーバーは、AIクライアントとNotionを直接つなぎ、ページやデータベースの操作を自然言語で実行できる公式ツールです。

  • リモート版はOAuth認証で手軽に導入でき、Notion-flavored Markdownによるトークン効率の高さが強みです。個人・チーム利用に適しています
  • OSS版はAPIトークンで非対話認証ができ、CI/CDやバッチ処理との連携に向いています。ただし将来廃止の可能性があるため、新規導入ではリモート版を優先してください
  • 全プラン(Free含む)で基本機能を利用可能です。Business以上ではNotion AI連携による外部アプリ横断検索、EnterpriseではMCP監査ログやアローリストが使えます
  • Claude Desktop、Claude Code、Cursor、VS Code、ChatGPT Pro、Windsurfなど主要AIクライアントに公式対応しています

Notion MCPサーバーの公式ドキュメント: Getting Started with Notion MCP

GitHubリポジトリ(OSS版): makenotion/notion-mcp-server