Webサイトを運営していると「Googleのガイドラインに準拠しているか」が気になる場面は多いです。しかし、Googleが公開しているガイドラインは複数あり、それぞれ対象や目的が異なります。「Google検索の基本事項」「検索品質評価ガイドライン」「SEOスターターガイド」「スパムポリシー」など、名称も改定履歴も混在しやすく、全体像の把握が難しいのが実情です。
本記事では、Google公式ガイドラインの種類と役割を体系的に整理し、各ガイドラインの要点をSEO実務に即した形で解説します。
Google公式ガイドラインの全体像
Googleが公開している主なガイドラインは、目的と対象読者によって以下のように分類できます。
| ガイドライン名 | 対象 | 主な内容 | 公式URL |
|---|---|---|---|
| Google検索の基本事項 | サイト運営者・開発者 | 検索結果に表示されるための技術要件・スパムポリシー・ベストプラクティス | Google検索セントラル |
| 検索品質評価ガイドライン | 外部品質評価者(間接的にサイト運営者) | Page Quality評価・Needs Met評価・E-E-A-T基準 | General Guidelines(PDF) |
| SEOスターターガイド | SEO初心者・Web担当者 | SEOの基礎的な実装手順と推奨事項 | SEOスターターガイド |
| Googleビジネスプロフィールガイドライン | 店舗・ローカルビジネス運営者 | ビジネス情報の登録ルール・MEO関連ポリシー | ビジネスプロフィールヘルプ |
上記のうち、SEO施策全般に最も深く関わるのが「Google検索の基本事項」と「検索品質評価ガイドライン」です。以下、各ガイドラインの中身を掘り下げます。
Google検索の基本事項(旧ウェブマスター向けガイドライン)
2002年から約20年間「ウェブマスター向けガイドライン(Webmaster Guidelines)」として提供されていた文書は、2022年10月13日に「Google検索の基本事項(Google Search Essentials)」へ名称変更されました。名称変更と同時に構成も大幅に見直され、現在は3つのセクションで構成されています。
1. 技術要件
Google検索結果にページが表示されるための最低限の条件です。多くのWebサイトは特別な対応をしなくてもこの要件を満たしていますが、以下の点が明記されています。
- Googlebotがブロックされていないこと — robots.txtやnoindexタグの設定ミスに注意が必要です
- ページが正常に動作すること — HTTPステータスコード200を返し、コンテンツが表示可能な状態であることが求められます
- インデックス可能なコンテンツが存在すること — テキスト・画像・動画など、Googleが処理できる形式のコンテンツが含まれている必要があります
2. スパムに関するポリシー
検索順位の低下や検索結果からの完全な除外につながる行為が列挙されています。2025年12月時点で、以下の16項目が定められています。
| カテゴリ | スパムポリシー | 概要 |
|---|---|---|
| コンテンツ操作 | クローキング | ユーザーと検索エンジンに異なるコンテンツを表示する |
| コンテンツ操作 | 隠しテキストと隠しリンク | CSSやフォントサイズでテキストを不可視にする |
| コンテンツ操作 | キーワードの乱用 | 不自然な頻度でキーワードを詰め込む |
| コンテンツ操作 | 大量生成コンテンツの不正使用 | AIや自動化で大量の低品質コンテンツを生成する |
| コンテンツ操作 | スクレイピング | 他サイトのコンテンツを無断で複製する |
| リンク関連 | リンクスパム | 有料リンクや過剰な相互リンクで順位を操作する |
| リダイレクト関連 | 不正なリダイレクト | ユーザーを意図しないページへ転送する |
| リダイレクト関連 | 誘導ページの不正使用 | 類似した低品質ページを大量に作成する |
| サイト信頼性 | サイトの評判の不正使用 | 第三者コンテンツでサイト評判を悪用する |
| サイト信頼性 | 期限切れドメインの不正使用 | 中古ドメインの権威を利用する |
| セキュリティ | ハッキングされたコンテンツ | 不正アクセスにより改ざんされたコンテンツ |
| セキュリティ | マルウェアや悪意のある行為 | 有害なソフトウェアの配布 |
| ユーザー体験 | 誤解を招く機能 | ユーザーの期待と異なる挙動をする機能 |
| ユーザー体験 | 内容の薄いアフィリエイトサイト | 独自の付加価値がないアフィリエイトページ |
| トラフィック | 機械生成トラフィック | ボットによる不正なアクセス |
| トラフィック | ユーザー生成スパム | コメント欄などを悪用したスパム |
3. 主なベストプラクティス
Googleが推奨するサイト運営の指針がまとめられています。核となるのは以下の要素です。
- 有用で信頼性の高いコンテンツを作成する — ユーザーの検索意図に的確に応えるコンテンツが最も重要です
- 検索キーワードを適切な位置に配置する — タイトルタグ、見出し、本文の冒頭など目立つ場所にキーワードを自然に含めます
- リンクをクロール可能にする —
<a href>形式のリンクを使用し、JavaScript生成リンクの場合はレンダリング可能な状態にします - 構造化データの活用 — schema.orgベースのマークアップで検索結果のリッチ表示を実現します
検索品質評価ガイドラインとE-E-A-T
検索品質評価ガイドラインの位置づけ
検索品質評価ガイドライン(General Guidelines)は、Googleが外部の品質評価者(Search Quality Rater)に対して提供する評価マニュアルです。英語版PDFのみで公開されており、日本語の公式版は存在しません。
ポイントとして押さえておくべきなのは、このガイドラインはGoogleの検索アルゴリズムそのものではないという点です。外部評価者がこのマニュアルに沿って検索結果を評価し、その結果がアルゴリズム改善のフィードバックデータとして使われます。つまり、間接的にランキングに影響する基準として理解するのが正確です。
最新版は2025年9月11日に更新されました。この改訂ではYMYLの定義が見直されたほか、AIによる要約や検索結果ページに関する最低品質事例が追加されています。
出典: copyright.ne.jp - 検索品質評価ガイドライン日本語訳
ガイドラインの2大評価軸
品質評価ガイドラインは大きく2つの評価軸で構成されています。
Page Quality(ページ品質)評価
ページそのものの品質を5段階(Lowest〜Highest)で評価します。評価の中心にあるのがE-E-A-Tの4要素です。
Needs Met(ニーズメット)評価
検索クエリに対して、そのページがユーザーの意図をどの程度満たしているかを評価します。「Fully Meets」から「Fails to Meet」までの段階で判定されます。
E-E-A-Tの4要素
E-E-A-Tは2022年12月に従来のE-A-T(専門性・権威性・信頼性)に「経験(Experience)」が加わって成立した評価基準です。
出典: Google Search Central Blog
| 要素 | 英語 | 評価対象 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 経験 | Experience | コンテンツ作成者の実体験に基づいているか | 実際に製品を使ったレビュー、体験記 |
| 専門性 | Expertise | 該当分野の専門知識が反映されているか | 医療記事を医師が執筆、法律記事を弁護士が監修 |
| 権威性 | Authoritativeness | 作成者・サイトがその分野で認められているか | 公的機関のサイト、業界団体の発信 |
| 信頼性 | Trustworthiness | 情報が正確で安全なサイト環境か | HTTPS対応、出典の明示、連絡先の記載 |
4要素のうち最も中核に位置するのが「信頼性(Trustworthiness)」です。Googleの公式ブログでも、信頼性が他の3要素を包括する中心的な概念として位置づけられています。
YMYLトピックへのE-E-A-T適用
YMYL(Your Money or Your Life)に該当するトピックでは、E-E-A-Tの基準がとりわけ厳格に適用されます。
YMYLに含まれるカテゴリの主な例は以下の通りです。
- 健康・医療に関する情報
- 金融・投資に関する助言
- 法律に関する情報
- ニュース・時事問題
- 市民生活に関わる重要な情報(行政手続き、安全など)
SEOスターターガイド
Googleが提供する「検索エンジン最適化(SEO)スターターガイド」は、Web担当者やSEO初心者を対象とした実践的な入門文書です。2024年2月にリニューアルされ、旧版の約8,700語から約4,000語へ大幅にコンパクト化されました。
出典: Google Search Central Blog
リニューアル後の主なトピック
リニューアル後のSEOスターターガイドで取り上げられている主な項目は以下の通りです。
- Googleにコンテンツを見つけてもらう方法 — サイトマップの送信やSearch Consoleの登録など
- 検索結果での表示を管理する — titleタグやmeta descriptionの最適化
- コンテンツの最適化 — ユーザーにとって有益なコンテンツの作り方
- 画像の最適化 — alt属性の設定やファイル名の工夫
- モバイルフレンドリー対応 — レスポンシブデザインの採用
- 重複コンテンツの削減 — canonical設定などによる正規化
- 検索結果に変化が出るまでの期間 — 数日から数週間かかるという現実的な見通し
また、2024年の改訂で新たに「SEOで重要視すべきではないこと」というセクションが追加され、metaキーワードタグやキーワード密度の過度な最適化が不要であることが明記されました。
ページエクスペリエンスとCore Web Vitals
Core Web Vitalsの最新指標
GoogleはUX(ユーザーエクスペリエンス)をランキングシグナルの一つとして扱っており、その定量的な指標がCore Web Vitalsです。2024年3月12日にFID(First Input Delay)がINP(Interaction to Next Paint)に置き換えられ、現在は以下の3指標で構成されています。
| 指標 | 測定対象 | 合格基準 | 改善施策の例 |
|---|---|---|---|
| LCP(Largest Contentful Paint) | 最大コンテンツの読み込み速度 | 2.5秒以下 | 画像の最適化、サーバーレスポンスの高速化 |
| INP(Interaction to Next Paint) | ユーザー操作への応答性 | 200ミリ秒以下 | JavaScriptの最適化、長時間タスクの分割 |
| CLS(Cumulative Layout Shift) | 視覚的な安定性(レイアウトのズレ) | 0.1以下 | 画像・広告のサイズ指定、Webフォントの最適化 |
出典: Google Search Central - Core Web Vitals
ページエクスペリエンスの構成要素
Core Web Vitals以外にも、ページエクスペリエンスに影響する要素として以下が挙げられます。
- HTTPS対応 — SSL/TLS証明書によるセキュアな接続
- モバイルフレンドリー — スマートフォンでの表示・操作性
- 煩わしいインタースティシャルの回避 — ポップアップなどでコンテンツが隠れないこと
Googleコアアップデートとガイドラインの関係
Googleは検索アルゴリズムに対して年に数回の大規模な更新(コアアップデート)を実施しています。2025年には3月・6月・12月の計3回のコアアップデートが実施されました。
コアアップデートはガイドラインの方針に沿ってアルゴリズムを改善するための仕組みです。ガイドラインに準拠したサイト運営を続けていても順位変動は起こり得ますが、長期的にはガイドラインの原則に沿ったコンテンツが評価されやすい傾向にあります。
コアアップデートへの対処法
Googleは公式にコアアップデートへの対策として、以下のセルフアセスメント項目を推奨しています。
- コンテンツは独自の情報・調査・分析を含んでいるか
- トピックについて包括的で実質的な説明を提供しているか
- 他のソースから単純にコピーするのではなく付加価値を提供しているか
- 見出しやタイトルはコンテンツを正確に要約しているか
- ブックマークしたい、友人に共有したいと思えるページか
- 百科事典や雑誌に掲載されるレベルの品質か
ガイドライン違反時のペナルティと対処
Googleガイドラインへの違反が検出されると、手動対策(手動ペナルティ)または自動的なアルゴリズム上の措置が適用されます。
手動対策の確認と解除手順
- Search Consoleで確認 — 「セキュリティと手動による対策」メニューから手動対策の有無を確認します
- 原因の特定と修正 — 問題箇所を修正し、違反状態を解消します
- 再審査リクエストの送信 — Search Consoleから再審査リクエストを送信します
- 審査結果の確認 — 通常数日〜数週間で審査結果がSearch Consoleに通知されます
アルゴリズムによる自動措置の場合
手動対策とは異なり、アルゴリズムによる措置にはSearch Console上での通知がありません。順位が大幅に下落した場合は、スパムポリシーへの抵触やコンテンツ品質の問題を自主的に点検する必要があります。
Googleビジネスプロフィールのガイドライン
ローカルビジネスを運営している場合は、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)のガイドラインも重要です。
基本的な登録ルール
- ビジネス名は実際の看板や店名と一致させる(宣伝文句の追加は不可)
- 所在地は顧客が実際に訪問できる場所であること
- 電話番号やWebサイトURLは正確に記載する
- カテゴリ設定はビジネスの実態を的確に反映する
MEO(Map Engine Optimization)との関連
Googleビジネスプロフィールのガイドラインに従うことは、ローカル検索結果(マップパック)での上位表示にも直結します。Googleはローカル検索順位の決定要因として「関連性」「距離」「知名度」の3つを公式に挙げています。
SEO実務で優先すべきガイドライン対応チェックリスト
各ガイドラインの内容を踏まえ、SEO実務で優先度の高い対応事項を整理します。
技術面
- robots.txtでGooglebotをブロックしていないか確認
- サイトマップ(sitemap.xml)を作成・送信している
- HTTPS化が完了している
- モバイルフレンドリーテストに合格している
- Core Web Vitals(LCP・INP・CLS)が合格基準を満たしている
コンテンツ面
- 各ページに固有のtitleタグとmeta descriptionを設定している
- E-E-A-Tを意識したコンテンツ作成(著者情報の明示、出典の記載)
- YMYL領域では専門家の監修を受けている
- 重複コンテンツがcanonicalで正規化されている
スパムポリシー対応
- 有料リンクや不自然なリンク構築を行っていない
- AI生成コンテンツを無編集のまま大量公開していない
- 隠しテキスト・キーワードの乱用がない
- ユーザーと検索エンジンに同一のコンテンツを表示している
まとめ
Google公式ガイドラインは単一の文書ではなく、「検索の基本事項」「検索品質評価ガイドライン」「SEOスターターガイド」「ビジネスプロフィールガイドライン」など複数のドキュメントで構成されています。それぞれの対象と目的は異なりますが、根底にある原則は共通しています。「ユーザーにとって有益で信頼できるコンテンツを、アクセスしやすい形で提供する」ことです。
ガイドラインは定期的に改訂が行われるため、Google検索セントラルの公式ブログやドキュメント更新情報を継続的にチェックすることが重要です。