同じサイト内の複数ページが、ひとつの検索キーワードで順位を奪い合う現象をキーワードカニバリゼーション(通称カニバリ)と呼びます。記事を増やすほど起きやすく、コンテンツが100ページを超えたあたりから顕在化するケースが多いです。
ただし、Google のJohn Mueller氏は2025年9月に「3つの異なるページが同一の検索結果に表示されること自体は問題ではない」と発言しています(出典: Search Engine Journal)。すべてのカニバリが悪影響をもたらすわけではなく、対処すべきカニバリと放置してよいカニバリの見極めこそが実務の要点です。
キーワードカニバリゼーションの仕組み
検索エンジンはクエリごとに「どのページを表示すべきか」を判定します。同一ドメイン内に類似テーマのページが複数あると、Googleが最適なページを選びきれず、表示URLが日替わりで入れ替わることがあります。
カニバリゼーションの語源は英語の “cannibalization”(共食い)です。マーケティング分野では、自社の新商品が既存商品の売上を奪う現象を指す用語としても使われています。SEOにおいては、自サイトのページ同士がキーワードの順位を食い合う状態を意味します。
重複コンテンツとの違い
混同されがちですが、カニバリと重複コンテンツは別の概念です。
| 観点 | カニバリゼーション | 重複コンテンツ |
|---|---|---|
| 原因 | 異なる内容のページが同一KWで競合 | ほぼ同一の文章が複数URLに存在 |
| Googleの扱い | 最適ページの選定に迷う | 正規URLを自動判定(canonicalization) |
| 対策の方向性 | テーマの棲み分け・統合 | canonical / リダイレクト / noindex |
重複コンテンツはGoogleが自動で正規URLを選定するため、大きな順位下落につながりにくいです。一方、カニバリは意図と異なるページが上位に来ることでCVR低下などビジネスに直結する問題を引き起こします。
対処が必要なカニバリと放置してよいカニバリ
すべてのカニバリに対応する必要はありません。以下の基準で判断してください。
対処が必要なケース
- 狙ったページではなく、別のページ(会社概要やカテゴリページなど)が上位に表示される
- 同一KWで表示されるURLが週単位で入れ替わり、順位が安定しない
- CVポイント(問い合わせフォーム・購入ページなど)を持つページが押し出されている
- 2ページとも10位圏外で、どちらも上位を取れていない
放置してよいケース
- 同一ドメインから2ページ以上が上位10位以内に入っている(検索結果の占有率が高い状態)
- 表示URLは固定されており、順位も安定している
- 各ページの検索意図が明確に異なる(例:「○○ とは」の解説記事 と 「○○ 比較」のランキング記事)
Google の Mueller 氏が述べたとおり、同じクエリに複数ページが表示されること自体はペナルティではありません。問題になるのは「意図しないページが上位に来て、ビジネス目標に悪影響を与えているかどうか」です。
カニバリが引き起こす4つの実害
対処が必要なカニバリを放置した場合、以下のような悪影響が生じます。
1. SEO評価の分散
被リンク・内部リンク・クリック数といったランキングシグナルが複数ページに分かれます。本来1ページに集中すべき評価が薄まるため、どちらのページも競合サイトに勝てなくなります。
2. CTR(クリック率)の低下
検索結果に表示されるページが日によって切り替わると、title・descriptionの訴求内容もブレます。ユーザーにとって「前回見たのと違うページだ」という混乱が生まれ、クリック率が下がります。
3. CVR(コンバージョン率)の機会損失
商品紹介ページを狙っているのに、情報提供型のブログ記事が上位に来てしまう状況はCVRに直結します。購買意欲の高いユーザーが問い合わせフォームのないページに誘導されるためです。
4. クロールバジェットの浪費
大規模サイト(数万ページ以上)ではクロールバジェットの問題も無視できません。類似コンテンツが多いと、Googlebot が重要ページを十分にクロールできなくなる可能性があります。ただし、中小規模のサイトではクロールバジェットの心配はほぼ不要です。
カニバリが発生する主な原因
キーワード設計の不備
記事を作成する前にキーワードマッピングを行わず、「書きたい順」で記事を量産すると、似通ったテーマの記事が乱立します。特に「○○とは」「○○の意味」「○○ わかりやすく」のような類義KWを別々の記事で狙った場合にカニバリが起きやすいです。
リライトによるテーマの接近
既存記事をリライトする際に、対策KW以外のトピックを追加しすぎると、別記事とテーマが重なります。例えば「SEO 内部リンク」の記事にカニバリの説明を大幅に追加してしまい、「SEO カニバリ」の記事と競合するパターンです。
ECサイト・動的ページの構造的問題
ECサイトではカテゴリページ・タグページ・検索結果ページが同一商品群を表示するため、構造的にカニバリが発生します。パラメータ付きURLやフィルター機能による動的ページが制御されていない場合も同様です。
過去記事の把握不足
コンテンツ数が増えるほど、執筆者が過去の記事内容を把握しきれなくなります。結果として、既存記事と内容が大幅に重複する新規記事を公開してしまいます。
Google Search Consoleでカニバリを診断する手順
無料で最も信頼性の高い診断方法は、Google Search Console(GSC)の検索パフォーマンスレポートを活用する方法です。
ステップ1:対象キーワードで絞り込む
- GSCの「検索パフォーマンス」を開く
- 「+ 新規」→「検索キーワード」をクリック
- カニバリの疑いがあるキーワードを入力して「適用」
- 期間を「過去6か月」に設定する(短期間だと傾向が掴めないため)
ステップ2:ページタブで複数URLを確認する
- 「ページ」タブに切り替える
- 同一KWで表示されているURLが2つ以上あるか確認する
- 各URLのクリック数・表示回数・平均掲載順位をメモする
ステップ3:順位変動パターンを分析する
以下のパターン別に判断します。
| パターン | 状態 | 対処の要否 |
|---|---|---|
| URL-Aが常時上位、URL-Bは低順位 | 軽微なカニバリ | URL-Bのテーマを変更、または統合 |
| URL-AとURL-Bの順位が交互に入れ替わる | 深刻なカニバリ | 早急に対処が必要 |
| 両URLとも上位10位以内で安定 | 良性のカニバリ | 放置でOK |
| 両URLとも20位以下で低迷 | 共倒れ | 1ページに統合すべき |
ステップ4:データをエクスポートして全体を把握する
大規模サイトでは、GSCのデータをスプレッドシートにエクスポートし、「クエリ × ページ」のピボットテーブルを作成する方法が効率的です。
- GSCの「検索パフォーマンス」→ エクスポート → Googleスプレッドシート
- 「ページ」列でCOUNTIF関数を使い、同一クエリに複数ページが表示されているケースを抽出
- 表示回数の多いクエリから優先的に対処する
GSC以外の診断方法
site:コマンドによる簡易チェック
Google検索で site:example.com "対象キーワード" と入力すると、そのキーワードを含む自サイトのページ一覧が表示されます。上位に表示されるページが意図したページかどうかを素早く確認できます。
SEOツールの活用
| ツール名 | カニバリ診断機能 | 費用 |
|---|---|---|
| Ahrefs | Site Audit → Cannibalization レポート | 有料(月額$129〜) |
| Semrush | Position Tracking → Cannibalization タブ | 有料(月額$139.95〜) |
| GRC | 同一KWの複数URL順位を時系列で比較 | 有料(年額4,950円〜) |
| ruri-co | キーワードの検索結果類似率を可視化 | 無料 |
ruri-coは2つのキーワードの検索結果がどの程度似ているかを「類似率」で表示するツールです。類似率が高いキーワード同士を別記事で狙うとカニバリが発生しやすいため、記事企画段階での予防に役立ちます。
カニバリ解消の判断フロー
カニバリが見つかった場合、以下の順番で判断を進めてください。
Q1. 表示URLの入れ替わりが発生しているか? → No(固定されている): 深刻度は低い。テーマの棲み分けを確認して経過観察 → Yes: Q2へ
Q2. 競合しているページは両方とも必要か? → No(片方は不要): 不要なページを削除、または301リダイレクトで必要なページに統合 → Yes: Q3へ
Q3. 両ページの検索意図は異なるか? → Yes(異なる意図): title・見出し・内部リンクのアンカーテキストを調整して、テーマの違いをGoogleに明示する → No(同じ意図): コンテンツを統合し、評価の低いページから301リダイレクトを設定
具体的な解消施策5つ
施策1:コンテンツの統合と301リダイレクト
最も確実な解消方法です。評価が分散している2ページを1ページに統合し、不要になったURLから301リダイレクトを設定します。
手順:
- 両ページの内容を比較し、残すページ(被リンクが多い方やCVに近い方)を決定
- 削除するページの有益な情報を残すページに移植
- 削除するページに301リダイレクトを設定
- 内部リンクのリンク先を残すページのURLに更新
- GSCで「URL検査」→「インデックス登録をリクエスト」を実行
施策2:title・description・見出しの差別化
両方のページを残す場合は、各ページのtitle・meta description・H1〜H2見出しで対策KWを明確に分けます。
例:
| 要素 | ページA(定義・概要向け) | ページB(実務・手順向け) |
|---|---|---|
| title | SEOカニバリゼーションの意味と原因 | カニバリ解消の手順|GSCを使った具体的な方法 |
| H1 | カニバリゼーションとは何か | カニバリを解消する実践的な5ステップ |
| 対策KW | カニバリゼーション とは | カニバリ 解消 方法 |
施策3:内部リンクのアンカーテキスト最適化
内部リンクのアンカーテキストは、Googleがページのテーマを判断するシグナルのひとつです。カニバリが発生しているページに向けた内部リンクのアンカーテキストを、各ページの対策KWに合わせて調整します。
NG例: 両ページへのリンクが「カニバリについて」という同じアンカーテキスト OK例: ページAへは「カニバリとは」、ページBへは「カニバリの解消手順」と使い分ける
施策4:canonicalタグによるURL正規化
同一テーマの重複が避けられない場合(ECサイトのカラーバリエーションページなど)は、canonicalタグで正規URLを指定します。
<!-- 正規ではないページに設置 -->
<link rel="canonical" href="https://example.com/canonical-page/" />
canonicalはあくまで「ヒント」であり、Googleが必ず従うとは限りません。明確に不要なページは301リダイレクトのほうが確実です。
施策5:noindex による検索結果からの除外
検索流入が不要なページ(社内向け資料やタグ一覧ページなど)には noindex を設定し、検索結果への表示を防ぎます。
<meta name="robots" content="noindex" />
noindexを設定するとそのページへの被リンク評価も失われるため、外部から被リンクを受けているページには使わないでください。
カニバリを予防する3つの仕組み
解消よりも予防のほうが工数は少なく済みます。以下の仕組みを運用に組み込んでください。
1. キーワードマッピング表の運用
スプレッドシートで「対策KW × 担当URL」の対応表を作成します。新規記事の企画時にこの表を確認し、既存記事とKWが重複していないかチェックする運用ルールを設けてください。
| 対策KW | 担当URL | 公開日 | ステータス |
|---|---|---|---|
| SEO カニバリ | /blog/seo-cannibalization/ | 2026-02-10 | 公開済み |
| SEO 内部リンク | /blog/internal-link/ | 2026-01-15 | 公開済み |
| SEO 重複コンテンツ | /blog/duplicate-content/ | 未定 | 企画中 |
2. ruri-coを使ったキーワード類似率の事前チェック
新規KWを追加する前に、ruri-coで既存記事のKWとの類似率を確認します。類似率が50%以上の場合、同じ記事内で扱うか、明確にテーマを分けた構成を設計してから執筆に入ります。
3. トピッククラスター設計
関連するKW群をひとつの「トピッククラスター」として設計し、ピラーページ(総合解説記事)とクラスターページ(個別テーマの記事)の役割を明確に分けます。ピラーページからクラスターページへ、クラスターページからピラーページへ相互に内部リンクを張る構造が、テーマの棲み分けとリンク評価の集約を両立させます。
よくある質問
Q. カニバリが発生したら、すぐにページを削除すべきですか? 削除は最終手段です。まずGSCで順位変動パターンを確認し、title・見出しの差別化や内部リンク調整で改善できないか試してください。被リンクを持つページの削除は、リンク資産の喪失にもつながります。
Q. canonicalとnoindexはどちらを使うべきですか? 被リンクを受けているページにはcanonicalを推奨します。noindexは被リンク評価も消失するためです。どちらのページにもリンクがなく、片方が明確に不要であれば、noindexでも問題ありません。
Q. WordPressのタグページがカニバリの原因になっています。対策は?
タグページに noindex を設定するのが最もシンプルな対策です。Yoast SEOやAll in One SEOなどのプラグインで、タグアーカイブのnoindex設定を一括で有効化できます。
Q. カニバリのチェックはどのくらいの頻度で行うべきですか? 四半期に1回(3か月ごと)を目安にしてください。コアアルゴリズムアップデートの直後にもチェックすると、順位変動の原因がカニバリかどうかを切り分けやすくなります。
まとめ
キーワードカニバリゼーションは、サイト規模の拡大に伴って避けられない課題です。ただし、すべてのカニバリが悪影響を及ぼすわけではありません。GSCで順位変動パターンを確認し、「意図しないページが上位に来ている」「URLが頻繁に入れ替わる」場合にのみ対処すれば十分です。
対処の優先順位は、コンテンツ統合 → title・見出しの差別化 → 内部リンク調整 → canonical/noindex の順で検討してください。そして、キーワードマッピング表の運用やruri-coを使った事前チェックで、そもそもカニバリが発生しない仕組みを整えることが、長期的なSEO成果につながります。