スマホの写真が増えすぎて容量不足になった、PCの故障で大切なファイルを失った――こうした経験がある方は少なくないはずです。個人向けクラウドストレージは、こうしたデータ消失リスクを解消しつつ、スマホ・PC・タブレットからいつでもファイルにアクセスできる便利なサービスです。

ただし、Google Drive、iCloud+、Dropbox、OneDriveなど主要サービスだけでも選択肢が多く、料金体系も無料・サブスク・買い切りと様々です。さらに近年は、エンドツーエンド暗号化(E2EE)を標準搭載するプライバシー特化型サービスも登場し、選択基準が多様化しています。

この記事では、2026年2月時点の最新料金をもとに8サービスを比較し、用途別のおすすめを整理しました。

個人向けクラウドストレージを選ぶ5つの基準

サービスを比較する前に、選定時に重視すべきポイントを押さえておくと判断がスムーズです。

無料容量と有料プランのコストパフォーマンス

無料プランの容量はサービスによって2GB〜20GBと大きな差があります。無料枠だけで足りるケースもあれば、写真や動画を多く保存する方は有料プランが必要です。有料プランは1GBあたりの単価で比較すると、コスパの良し悪しが明確になります。

暗号化方式とプライバシー保護

クラウドストレージのセキュリティは「転送時の暗号化」と「保存時の暗号化」の2段階があります。多くのサービスはサーバー側で暗号化を管理するため、運営会社はデータにアクセスできる状態です。

一方、**エンドツーエンド暗号化(E2EE)**を採用するサービスでは、ユーザーの端末で暗号化してからアップロードするため、運営会社でもデータの中身を閲覧できません。米国ではこの「ゼロナレッジ暗号化」が個人ユーザーの間でも重視されており、MEGA・Proton Driveなどがこの方式を標準搭載しています。

対応デバイスとエコシステムの親和性

iCloud+はApple製品、OneDriveはWindows・Microsoft 365との連携が特に優れています。複数のOSやデバイスを横断して使う方は、マルチプラットフォーム対応のサービスが適しています。

買い切りかサブスクか

ほとんどのサービスは月額・年額のサブスクリプション制ですが、pCloudのように一度の支払いで永続的に使えるライフタイムプランを提供するサービスもあります。3年以上の長期利用を見込むなら、トータルコストで買い切りが有利になるケースがあります。

ファイル復元とバージョン管理

誤って削除したファイルや上書きしたデータを復元できる期間はサービスごとに異なります。Dropboxは無料プランでも30日間のファイル復元に対応しており、この機能を重視する方にはメリットがあります。

おすすめクラウドストレージ8選の料金比較表

2026年2月時点の個人向けプランを一覧で比較します。

サービス無料容量主要有料プラン月額(税込)年額(税込)暗号化買い切り
Google Drive15GB100GB / 2TB290円 / 1,450円2,900円 / 14,500円サーバー側なし
iCloud+5GB50GB / 200GB / 2TB150円 / 450円 / 1,500円サーバー側なし
OneDrive5GB1TB(M365 Personal)2,130円21,300円サーバー側なし
Dropbox2GB2TB(Plus)約1,500円約15,840円サーバー側なし
pCloud5〜10GB500GB / 2TB$4.99 / $9.99$49.99 / $99.99オプションE2EEあり
MEGA20GB400GB / 2TB€4.99 / €9.99€49.99 / €99.99E2EE標準なし
InfiniCLOUD20GB300GB / 3TB970円 / 1,460円9,700円 / 14,600円サーバー側なし
Proton Drive5GB200GB / 500GB$4.99 / $12.99$47.88 / $119.88E2EE標準なし

※ Dropboxの日本円価格は為替変動により変わる場合があります。pCloud・MEGA・Proton Driveは外貨建て(USD/EUR)です。

各サービスの特徴と向いている人

Google Drive(Google One)― 無料15GBとAI連携が強み

Google Driveは、Googleアカウントがあれば無料で15GBを利用できます。Gmail・Googleフォトと容量を共有する仕組みのため、メールや写真を多用する方は消費が早い点に注意が必要です。

有料プランのGoogle Oneでは、2025年の料金改定後も100GBプランが月額290円(税込)と手頃な水準を維持しています。2TBプランは月額1,450円(税込)で、年払いなら14,500円です。AI Proプラン(月額2,900円・税込)ではGemini Advancedが利用でき、ドキュメント作成や画像生成の補助にも活用できます。

Googleドキュメント・スプレッドシート・スライドとの連携がシームレスで、ブラウザ上でのファイル編集が多い方に最適です。

向いている人: Android端末ユーザー、Googleサービスを日常的に使う方、無料枠の大きさを重視する方

iCloud+ ― Apple製品との一体感が最大の魅力

iCloud+はiPhone・iPad・Macとの統合が最も深いストレージサービスです。写真・連絡先・カレンダー・Safariのパスワードなどが自動的に同期され、Apple製品同士の連携に特化しています。

料金は50GBで月額150円(税込)と、少量のストレージ追加なら業界最安水準です。全てのiCloud+プラン(50GB以上)でファミリー共有に対応しており、最大5人の家族とストレージを分け合えます。

iCloud+独自の機能として、iCloudプライベートリレー(Safari利用時のIPアドレス秘匿)やメールを非公開(使い捨てメールアドレス生成)があり、プライバシー保護の付加価値が高いサービスです。

向いている人: iPhone・Macをメインで使う方、家族でApple製品を揃えている方

Microsoft OneDrive(Microsoft 365 Personal)― Officeアプリ込みの総合力

OneDriveの無料プランは5GBですが、本領を発揮するのはMicrosoft 365 Personalプラン(月額2,130円・税込)です。1TBのストレージに加え、Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teams・OneNoteといったOfficeアプリのフルバージョンが利用できます。2025年2月の改定で**Microsoft Copilot(AI)**も標準搭載されました。

Officeアプリを日常的に使う方にとって、ストレージ単体で契約するよりもMicrosoft 365として一括で利用するほうがコストパフォーマンスに優れています。

Familyプラン(月額2,740円・税込)なら最大6人で合計6TB(1人1TB)を共有でき、1人あたり月額約457円でOffice+1TBストレージが手に入る計算です。

向いている人: Word・Excelを頻繁に使う方、Windows PCがメインの方、家族で共有したい方

Dropbox ― シンプルな操作性と確実な同期

Dropboxの無料プランは2GBと主要サービスの中で最も少ない容量ですが、ファイル同期の安定性と操作のシンプルさに定評があります。

有料のPlusプラン(2TB)は年払いで約15,840円です。ソースネクストが販売するDropbox Plus 3年版(42,700円・税込)を利用すると、1年あたり約14,233円で2TBが使え、公式の年額プランより割安になります。

30日間のファイル復元、スマートシンク(PC容量を節約しつつクラウド上のファイルにアクセス)、Dropbox Transfer(大容量ファイル送信)など、実務で役立つ機能が充実しています。

向いている人: ファイル同期の確実性を重視する方、フリーランスや副業で大容量ファイルをやり取りする方

pCloud ― 買い切りプランでサブスク疲れを解消

pCloudはスイス企業が運営するクラウドストレージで、ライフタイム(買い切り)プランを提供している点が最大の特徴です。サブスクリプションの月々の支払いを避けたい方に根強い人気があります。

ライフタイムプランの通常価格は500GBが$199、2TBが$399ですが、ブラックフライデーやバレンタインなどのセール時には30〜40%オフになることがあり、2TBが$279前後で購入できるタイミングもあります。

サブスクとの損益分岐点を計算すると、年額プラン(2TB: $99.99/年)を4年以上継続する場合、通常価格でもライフタイムプランのほうが安くなります。セール価格で購入すれば、約3年で元が取れる計算です。

注意点として、E2EE(ゼロナレッジ暗号化)はpCloud Encryptionという別料金のオプション(ライフタイム$150 / 年額$49.99)です。暗号化込みで考える場合はその分のコストも加味する必要があります。

向いている人: サブスク料金を払い続けたくない方、長期利用を前提とする方、写真・動画の保存が主目的の方

MEGA ― 無料20GBとE2EE標準搭載の両立

MEGAはニュージーランド拠点のサービスで、無料プランの20GBは主要サービスの中で最大級です。さらに、全プランでエンドツーエンド暗号化(E2EE)が追加料金なしで利用可能という点で、セキュリティ意識の高いユーザーから支持されています。

有料プランはEUR建てで、Pro Lite(400GB)が月額€4.99、Pro I(2TB)が月額€9.99です。年払いにすると約17%の割引になります。

ただし、各プランには月間転送量の上限が設定されています。Pro Liteで1TB/月、Pro Iで24TB/月です。Pro I以上であれば通常の個人利用で転送量上限に達することはまずありませんが、Pro Liteを検討する場合はこの制限に注意が必要です。

向いている人: 無料で大容量を使いたい方、E2EE暗号化を追加料金なしで利用したい方

InfiniCLOUD ― 国産サービスの安心感と長期優遇

InfiniCLOUD(旧TeraCLOUD)は、日本企業のInfiniCloud株式会社が運営する国産クラウドストレージです。無料プランで20GBが利用でき、広告表示もありません。

データセンターが日本国内にあるため、国内からのアクセス速度に優れ、データの保管先が海外になることへの不安がある方にも適しています。

特筆すべきは長期増サービスで、有料プラン継続利用30日ごとに10GBが自動追加され、最大1,500GBまで増量されます。3TBプラン(年額14,600円・税込)を長期利用すれば、実質的に4TB以上の容量が使える計算です。

WebDAVプロトコルに対応しているため、各種ファイルマネージャーや写真管理アプリから直接アクセスできる柔軟性も利点です。

向いている人: 国産サービスを優先したい方、長期利用で容量を増やしたい方、WebDAV対応を求める方

Proton Drive ― プライバシー最優先のスイス発サービス

Proton Driveは、暗号化メールサービスProton Mailで知られるスイスのProton AG が提供するクラウドストレージです。全プランでE2EEを標準搭載しており、運営会社であってもユーザーのファイル内容を閲覧できない設計です。

米国のクラウドストレージ比較サイトでは、PCMag・Zapier・Wirecutter などの主要メディアがProton Driveをプライバシー重視の選択肢として推奨しています。日本国内ではまだ知名度が低いものの、世界的には注目度が高まっているサービスです。

無料プランは5GBで、Drive Plus(200GB)が月額$3.99(年払い時)です。Proton Unlimitedプラン(500GB・月額$9.99/年払い時)にアップグレードすると、Proton Mail(暗号化メール)、Proton VPN、Proton Pass(パスワードマネージャー)、Proton Calendarも利用でき、プライバシーツールを一括で揃えられます。

日本語UIにも対応していますが、料金はUSD/EUR建てで日本円での決済には対応していません。

向いている人: プライバシーを最優先する方、暗号化メール・VPNも併せて導入したい方、海外サービスへの抵抗がない方

用途別おすすめの選び方

とにかく無料で使いたい

MEGA(20GB) または InfiniCLOUD(20GB) がおすすめです。主要サービスの中で無料容量が最大です。Google Drive(15GB)も含め、3サービスを併用すれば無料のまま50GB以上の容量を確保できます。

写真・動画のバックアップがメイン

Apple製品ユーザーならiCloud+、それ以外ならGoogle One(2TB)が無難です。Googleフォトの自動バックアップ機能は利便性が高く、検索性にも優れています。動画を大量に保存する方は、買い切りで2TBを確保できるpCloudも有力な選択肢です。

仕事の書類管理にも活用したい

**Microsoft 365 Personal(OneDrive 1TB)なら、Officeアプリとストレージが一体化しており業務効率が高いです。Officeを使わない方はDropbox Plus(2TB)**のファイル同期の安定性が実務向きです。

家族で共有したい

Microsoft 365 Family(月額2,740円・6人まで・合計6TB)が1人あたりのコストで最も優れています。Apple製品で統一している家庭ならiCloud+(50GB以上の全プランでファミリー共有対応)を利用するのがシームレスです。

セキュリティ・プライバシーを重視したい

E2EE(エンドツーエンド暗号化)が標準搭載されているのはMEGAProton Driveです。pCloudもE2EEに対応しますが別料金オプションとなります。個人情報や機密性の高いファイルを保存する場合は、E2EEの有無を重要な判断基準として検討してください。

サブスク料金を払い続けたくない

pCloudのライフタイムプランが唯一の選択肢です。2TBの通常価格は$399ですが、定期的なセールで$279前後まで下がることがあります。セール情報は公式サイトのほか、各種クーポンサイトでも確認できます。

2TBプランの長期コスト比較

2TBプランを5年間利用した場合の概算コストを比較します。サブスク疲れを防ぐためにも、長期的な視点でのコスト把握は重要です。

サービス年間コスト5年間合計備考
Google One 2TB14,500円72,500円年払い・税込
iCloud+ 2TB18,000円90,000円月額1,500円×12
M365 Personal 1TB21,300円106,500円Office込み・年払い
Dropbox Plus 2TB約15,840円約79,200円年払い
pCloud 2TB(買い切り)約59,850円$399×150円換算
pCloud 2TB(セール)約41,850円$279×150円換算
MEGA Pro I 2TB約16,500円約82,500円€99.99×165円換算
InfiniCLOUD 3TB14,600円73,000円年払い・税込・容量増あり

※ 為替レートは2026年2月時点の概算($1=150円、€1=165円)で計算しています。実際の支払額は変動します。

Google Oneの2TBプランとInfiniCLOUD の3TBプランが年額ベースで近い水準にあり、コスパの高さが際立ちます。pCloudの買い切りプランはセール価格で購入できれば5年間で最安になります。

クラウドストレージの安全な使い方

サービス選びと同時に、利用時のセキュリティ対策も重要です。

二段階認証を必ず有効にする

クラウドストレージのアカウントが乗っ取られると、保存しているすべてのファイルが流出するリスクがあります。どのサービスを選ぶ場合でも、二段階認証(2FA)は必ず有効にしてください。Google、Microsoft、Dropboxなど主要サービスは全て対応しています。

重要ファイルは複数サービスに分散保存

単一のクラウドストレージに全てのデータを集中させると、サービス障害やアカウント停止時にアクセスできなくなるリスクがあります。特に重要なファイルは、ローカル(外付けHDDなど)+クラウド2箇所の3-2-1バックアップルール(3つのコピー、2種類の媒体、1つはオフサイト)を意識すると安全です。この考え方は米国のIT専門メディアでも標準的なバックアップ戦略として推奨されています。

共有リンクのアクセス権限を確認する

ファイル共有時に「リンクを知っている全員」の設定にしたまま放置するケースが多く見られます。共有が不要になったファイルは、リンクの無効化や閲覧のみの権限設定を確認する習慣をつけてください。

よくある質問

クラウドストレージとオンラインストレージの違いは?

実質的に同じものを指します。クラウドストレージは技術的な用語、オンラインストレージはサービスとしての呼称として使われる傾向がありますが、明確な区別はありません。

無料プランだけで十分な容量はどのくらい?

スマホの写真バックアップを主な用途とする場合、1枚あたり約3〜5MBとして、15GB(Google Drive無料枠)で約3,000〜5,000枚分です。動画を含む場合は消費が格段に早くなるため、有料プランの検討をおすすめします。

OneDriveとGoogle Driveはどちらがよい?

Officeアプリ(Word・Excel)を日常的に使う方はOneDrive(Microsoft 365)、Googleドキュメントやスプレッドシートで十分な方はGoogle Driveが適しています。純粋にストレージ容量あたりの料金ではGoogle Oneのほうが安価です。

買い切りプランは本当にお得?

pCloudのライフタイム2TBプランは通常$399です。同容量のGoogle One年額14,500円と比較すると、約4年で元が取れます。セール価格($279前後)なら約3年です。ただし、サービスが将来終了するリスクもゼロではないため、重要データのバックアップは別途確保しておくのが安全です。

エンドツーエンド暗号化は必要?

一般的な写真や書類の保存であれば、主要サービスの標準的な暗号化で十分なセキュリティが確保されています。確定申告データ、医療記録、契約書など機密性の高いファイルを保存する場合は、E2EE対応のMEGAやProton Driveの利用を検討する価値があります。

まとめ:迷ったらまず無料プランで試す

個人向けクラウドストレージは「万人にとっての正解」が存在しません。利用デバイス、保存するファイルの種類、セキュリティへの要求度、予算によって最適解が変わります。

判断に迷う場合は、以下の3ステップで絞り込むのが効率的です。

  1. まず無料プランを試す ― Google Drive(15GB)、MEGA(20GB)、InfiniCLOUD(20GB)は無料枠が大きく、操作感を確かめやすい
  2. メイン端末との相性で絞る ― iPhoneならiCloud+、Windows PCならOneDrive、Androidなら Google Oneが連携しやすい
  3. 長期コストで最終判断 ― 3年以上使う見込みならpCloud買い切り、Office込みならM365 Family、コスパ重視ならGoogle One 2TB

どのサービスも有料プランには無料試用期間や返金保証が設けられているケースが多いため、まずは気になるサービスの無料プランから使い始めてみてください。