Firecrawlとは?全6機能の仕組みと料金・競合ツール比較【2026年版】

Webページの情報をAIに読み込ませたいのに、HTMLのタグやナビゲーション、広告が邪魔で前処理に時間がかかる——。生成AIを業務に組み込む開発者が増えるなか、こうした「ウェブデータの整形問題」は共通の課題です。Firecrawlは、この課題をAPI一本で解決するために生まれたサービスです。 Firecrawlの正体 — WebデータをAIに届けるAPI基盤 Firecrawl(ファイヤークロール)は、任意のWebページやサイト全体をLLM(大規模言語モデル)向けのクリーンなMarkdownや構造化JSONに変換するAPIサービスです。URLを指定するだけで、広告・ナビゲーション・フッターなどの不要要素を自動除去し、本文コンテンツだけを抽出できます。 従来のスクレイピングツールとの最大の違いは、AI連携を前提として設計されている点です。取得データは最初からRAG(検索拡張生成)パイプラインやAIエージェントに投入できる形式で提供されるため、開発者がHTMLパーサーやクリーニング処理を自前で書く必要がありません。 JavaScriptで動的にレンダリングされるSPA(Single Page Application)にも対応しており、Puppeteer等のヘッドレスブラウザを個別にセットアップする手間も省けます。 読み方・開発元・資金調達 Firecrawlの読み方は「ファイヤークロール」です。英語の Fire(火)と Crawl(巡回する)を組み合わせた造語で、ウェブを高速に巡回してデータを取得するというサービスの特性を表しています。 開発元は米サンフランシスコ拠点のスタートアップで、Y Combinator S22バッチ出身です。もともとは「Mendable」という名前で、ドキュメントに対してチャットで質問できるAI製品を開発していました。Snapchat、MongoDB、Coinbaseなどの企業にMendableを提供する過程で「WebデータをAIに取り込むインフラ」の需要を発見し、Firecrawlとして独立・社名変更しました(出典: Y Combinator)。 2025年8月には、Nexus Venture Partners主導でシリーズAラウンド1,450万ドル(約22億円)の資金調達を完了しています。Zapier、Shopify CEOのTobias Lütke氏、Postman CEOのAbhinav Asthana氏などが出資に参加しました(出典: Firecrawl公式ブログ)。 GitHubのスター数は約80,000を超え(2026年2月時点)、ScrapyやCrawleeを抜いてオープンソースWebスクレイパーとして最多スターを獲得しています(出典: GitHub)。登録開発者数は35万人以上、主要顧客にはZapier、Shopify、Replitなどが含まれます。 6つのAPIエンドポイントと用途 Firecrawlが提供するAPIは、大きく6つのエンドポイントに分かれます。用途に応じて使い分けることで、単一ページの即時取得からサイト全体の一括収集まで幅広いシナリオに対応できます。 Scrape — 単一ページの即時変換 /scrape エンドポイントは、指定したURLのページを1件取得し、Markdown・HTML・構造化JSON・スクリーンショットなどの形式で返却します。FirecrawlのAPIの中で最も基本的かつ利用頻度の高い機能です。 Pythonでの基本コード例: from firecrawl import FirecrawlApp app = FirecrawlApp(api_key="fc-YOUR-API-KEY") result = app.scrape_url("https://example.com") print(result["markdown"]) 内部でJavaScriptレンダリングが行われるため、SPAやReactで構築されたページでもコンテンツを取得可能です。waitForパラメータでレンダリング完了の待機時間を指定したり、actionsパラメータでクリック・スクロールなどのブラウザ操作を追加することもできます。 Crawl — サイト丸ごとの非同期収集 /crawl エンドポイントは、指定したURLを起点にリンクをたどり、サイト全体のページを一括取得します。非同期で処理されるため、大規模サイトでもタイムアウトの心配がありません。 crawl_result = app.crawl_url( "https://example.com", params={"limit": 100, "scrapeOptions": {"formats": ["markdown"]}} ) for page in crawl_result: print(page["markdown"][:200]) limitパラメータで取得ページ数の上限を設定でき、includePathsやexcludePathsで対象を絞り込むことも可能です。ジョブIDが発行されるため、進行状況の確認やキャンセルもAPIから行えます。 Map — URL構造の高速マッピング /map エンドポイントは、サイト内のURL一覧を高速に取得します。Crawlと異なり各ページのコンテンツは取得せず、URL構造の把握に特化しています。 map_result = app.map_url("https://example.com") print(f"発見URL数: {len(map_result['links'])}") サイトマップの確認やCrawl対象の事前選定に役立ちます。消費クレジットは1回あたり1クレジットと低コストです。 Extract — プロンプト指定の構造化抽出 /extract エンドポイントは、URLリスト(ワイルドカード対応)と自然言語プロンプトまたはJSONスキーマを指定して、構造化データを抽出します。「このページから会社名・設立年・従業員数を取り出して」といった指示が可能です。 schema = { "type": "object", "properties": { "company_name": {"type": "string"}, "founded_year": {"type": "integer"}, "employee_count": {"type": "integer"} } } result = app.extract( ["https://example.com/about"], params={"schema": schema} ) print(result["data"]) 複数ページからの大規模データ収集にも対応しており、比較表やデータベースの構築に適しています。 ...

2026年2月8日 · 3 分 · 10883 文字 · uiuifree

PHPでMCPサーバーを構築する方法|公式SDK・Laravel・素のPHPを徹底比較

PHPプロジェクトが持つデータやロジックをAIに公開し、エージェントが自律的に活用できる仕組みを構築したい——そんなニーズに応えるのがMCP(Model Context Protocol)サーバーです。2025年9月にPHP公式SDKがリリースされ、さらにLaravel 12.xでも公式サポートが追加されたことで、PHPエンジニアがMCPサーバーを構築するハードルは大幅に下がりました。 PHPでMCPサーバーを実装するには、大きく3つの選択肢があります。フレームワーク非依存の公式SDK(mcp/sdk)、Laravelエコシステムに統合されたlaravel/mcp、そしてComposerすら使わない**素のPHP(Vanilla PHP)**による最小実装です。プロジェクトの規模や技術スタックに合わせて最適な手段を選べます。 MCPの基本構造をPHP視点で整理する MCPはAnthropicが策定したオープンプロトコルで、AIアプリケーション(クライアント)と外部システム(サーバー)を標準的なインターフェースで接続します。公式サイトでは「AIアプリケーション向けのUSB-Cポート」と表現されています(出典: modelcontextprotocol.io)。 MCPサーバーが提供できる機能は、3つのプリミティブに分類されます。 プリミティブ 役割 PHPでの利用例 Tools LLMが能動的に呼び出す関数 DB検索、API呼び出し、ファイル操作 Resources URIで特定される読み取り専用データ 設定値、ドキュメント、ログ Prompts 再利用可能なプロンプトテンプレート コードレビュー指示、翻訳指示 通信方式(トランスポート)は3種類あり、プロトコルバージョン2025-03-26でStreamable HTTPが導入されました。最新のプロトコルバージョンは2025-11-25で、実験的なTasksプリミティブやOAuth 2.1のRFC 9728準拠などが追加されています(出典: MCP Changelog)。 トランスポート 通信方式 特徴 stdio 標準入出力 ローカル接続向け。Claude Desktop等が直接プロセスを起動 HTTP+SSE HTTP + Server-Sent Events ネットワーク越し通信対応。現在は後方互換のため残存 Streamable HTTP HTTP ストリーミング 再接続可能で新規プロジェクト推奨。ステートレス運用が可能 PHPで選べる3つのMCPパッケージ PHP向けのMCPサーバー実装は複数存在します。主要な3パッケージの違いを整理します。 項目 mcp/sdk(公式SDK) laravel/mcp(Laravel公式) Vanilla PHP(SDKなし) 開発元 Symfony / PHP Foundation / Anthropic Laravel(Taylor Otwell) 自前実装 PHPバージョン 8.1以上 8.2以上 制限なし(推奨8.1+) フレームワーク依存 なし Laravel 11以上 なし インストール composer require mcp/sdk composer require laravel/mcp Composer不要 ツール定義方式 PHP 8 Attributes Artisanスキャフォールド JSON-RPCハンドラ直書き stdio対応 あり あり(Artisanコマンド経由) あり Streamable HTTP あり あり(Webトランスポート) 自前実装が必要 認証機能 なし(自前実装) OAuth 2.1 / Sanctum内蔵 なし 向いているケース フレームワーク非依存で汎用的に使いたい Laravelプロジェクトへの統合 MCPプロトコルの学習、最小構成 コミュニティ発のphp-mcp/serverおよびphp-mcp/laravelも存在しますが、公式SDKのリリース後はメンテナンス体制の観点から上記3パッケージのいずれかを推奨します。 ...

2026年2月8日 · 4 分 · 10015 文字 · uiuifree

RustでMCPサーバーを構築する方法 ─ rmcp公式SDKによる実装ガイド

AI開発の現場で、LLMと外部ツール・データソースの連携が大きな課題になっています。Model Context Protocol(MCP)は、この課題に対する標準化された解決策です。Rustは速度・安全性・低リソース消費の面でMCPサーバーの実装言語として優れた選択肢であり、公式SDK「rmcp」を使えば型安全なサーバーを効率的に構築できます。 MCPとは何か ─ プロトコルの基本構造 MCPはAnthropicが提唱するオープンプロトコルで、LLMアプリケーションと外部リソースをJSON-RPC 2.0ベースで接続します。Language Server Protocol(LSP)がエディタとプログラミング言語の橋渡しをしたのと同様に、MCPはAIアプリケーションと外部ツール群の間に標準的なインターフェースを提供します。 MCPの通信は3つの役割で構成されます。 役割 説明 具体例 Host LLMアプリケーション本体。接続を開始する Claude Desktop, Cursor Client Host内の接続コネクタ MCPクライアントモジュール Server 機能やデータを提供するサービス 自作のMCPサーバー サーバーが提供する機能は3つのプリミティブに分類されます。 Tools: LLMが実行できる関数。ファイル検索、API呼び出し、計算処理など Resources: ユーザーやLLMが参照できるデータソース。ドキュメント、設定ファイルなど Prompts: 再利用可能なテンプレート。ワークフローの定型操作を定義 2025年11月に公開された最新仕様(バージョン2025-11-25)では、非同期タスク管理(Tasks)やOAuth 2.1ベースの認可フレームワークが追加されています(出典: MCP公式仕様)。 なぜRustでMCPサーバーを書くのか MCPサーバーの実装言語としてはTypeScript(公式SDK)やPythonが多く使われています。Rustを選ぶ理由は主に3つあります。 1. 起動速度とメモリ効率 MCPサーバーはstdioトランスポートの場合、ツール呼び出しのたびにプロセスが起動されることがあります。Rustのバイナリは起動が高速で、Node.jsのようなランタイム初期化のオーバーヘッドがありません。メモリ使用量も数MB程度に収まるため、複数のMCPサーバーを同時に実行する環境でもリソースを圧迫しません。 2. 型安全性とコンパイル時検証 rmcpの#[tool]マクロはJSON Schemaを自動生成します。Rustの型システムにより、引数の型不一致やnull安全性の問題がコンパイル時に検出されます。TypeScript SDKでもZodによるバリデーションは可能ですが、ランタイムエラーとしてしか検出できません。 3. シングルバイナリ配布 cargo build --releaseで生成される実行ファイルは単体で動作します。Node.jsやPythonのようにnode_modulesや仮想環境を配布先に用意する必要がなく、MCPクライアントの設定も単純になります。 TypeScript SDK との機能比較 観点 rmcp(Rust) @modelcontextprotocol/sdk(TypeScript) ランタイム 不要(ネイティブバイナリ) Node.js必須 型チェック コンパイル時に完結 tscによる静的チェック+Zodランタイム検証 起動時間 数ミリ秒 100ms〜(V8初期化含む) メモリ使用量 数MB 30MB〜 非同期ランタイム tokio Node.jsイベントループ JSON Schema生成 schemarsが自動生成 Zodスキーマから変換 プロトコルバージョン 2025-11-25対応 2025-11-25対応 配布方式 シングルバイナリ npm package + node_modules エコシステム成熟度 成長中 最も成熟 学習コスト Rust経験が必要 Web開発者に馴染みやすい TypeScript SDKはエコシステムの成熟度とWeb開発者の参入しやすさで優位です。一方、パフォーマンスとデプロイの手軽さが重視される場面ではRustが適しています。 ...

2026年2月8日 · 4 分 · 11000 文字 · uiuifree